そもそもの間違いは、少し郊外のホテルを予約していたことでした。ヨーロッパに行くと言ったとき、夫に「じゃあ電車旅行とかしてみるといいんじゃない」と言われて、たしかに電車はコロンビアではあまり乗れないし(ボゴタには電車が通っていない。メデジンにはありますが)、一時はフランクフルトからアムステルダムまで電車で行ってアムステルダムで日本行きの飛行機に乗る案まで考えたんですが、よく考えると飛行機は普通往復チケットを買うので、そうすると帰りも同じ経路にしなくてはいけない。それはちょっと面倒そうなので却下。
しかし郊外のホテルなら労せずして電車にちょっと乗れる。あと、ネットでホテルを調べているとフランクフルト市内のホテルって、よく「隣がバーでうるさい」などと書いてあるので、あんまりうるさいのもなぁ……と考えたのです。そもそも、本来の予定では飛行機の到着は午後2時半頃の予定だったし。
しかし実際の到着は午後8時前頃。まだ明るいとはいえちょっと焦る。
空港内に駅があり、到着ターミナルから駅まではバスがあったので簡単でした。
しかし実際に駅に行ってみると、まず切符の買い方がわからない。ここでかなり時間のロス。路線図らしいものと切符の自動販売機の間をうろうろしていたら、その辺にいた見知らぬおじさんが手助けしてくれて、やっと、目的地がわかっているときは駅名を入力すればいいのだということが判明しました。ありがとう、見知らぬ人。
次に電車に乗るホームがわからない。これはあとから考えれば単にホームの電光掲示板に不具合があっただけなんですが、「市内行き」というホームに行ったら「次の電車まで60分」とか書いてあるんですよ。
ホームに時刻表らしいものがあるんですが、これが見慣れないので見にくい。さっきとは別の見知らぬおじさんに相談しながら(でも彼もあまり詳しい感じではなかった)ホームを探し、延々長距離列車のホームまで行って、そこの鉄道案内所のお兄ちゃんに聞いたら、やっぱり最初の市内行きホームでよかったことがわかってまた戻りました。構内の通路と近距離電車の切符売り場のフロアの間のエスカレーターが動いてなくてちょっと大変でした。

市内行きホームで少し待ったら電車には乗れたんですが、これは中央駅まで行くだけの電車。そこで郊外行きに乗り換え。
そうこうするうちに当然ですが時間がけっこう過ぎていて、これはまずいかもという気がしてきました。ホテルにはボゴタの空港からメールを送り、飛行機が遅れているということは伝えたんですが、パリの空港で受け取った返事にはできれば午後10時までに入ってほしいというようなことが書かれていたのです。
でもまあ、その目的の電車には無事に乗れて、少し遅いかもしれないけれどできることは何もありません。ホテルのサイトには中央駅から20分と書いてあったけど、実際にはもう少し長かった気がします。途中でついに外が暗くなってきました。
もう少しで着くかも、というあたりで車掌らしい人がやってきました。ドイツの鉄道には改札も何もなく、途中でたまに検札に会えば切符はチェックされるが、それ以外はノーチェックという話をネットで見ていたので、これが噂の検札か!とちょっとわくわくしながら待っていたんですが、彼は私のすぐそばのドアのあたりに立っていた学生らしい男の子の切符を調べたあと、ひとしきり二人で雑談して降りていきました(知り合いという感じでもなかった)。肩すかし。結局、このあとドイツの鉄道で切符を調べられることは一度もありませんでした。
電車に乗っている人はかなり少なくなっていましたが、目的の駅で降りる人はわりといました。
しかしとても小さな駅で、駅前にはほとんど何もありません。実はホテルの場所がよくわかっていません。ホテルのサイトに一応地図があったのでよく見ておけばよかった。アホでしょうか。メールで、駅からホテルへの行き方を教えてくださいと書いておいたんですが、その件はスルーされていました。
電話しようかとも思いましたが、公衆電話が見当たりません。誰かに聞くしか。
駅前に小さいレストランが何軒か並んでいたのでそこの人に聞こうと近づいていったら、そのアジアレストランっぽい店はいましも閉店しようとするところで、中国人らしい女性に「もう終わりですよ」的な仕草をされましたが、「聞きたいことがあるだけなんです!」と厚かましくも英語で必死に訴えたら、ドアを開けてもらえました。なんていい人なんだ。
ホテル探してるんですけど、と言って住所が書かれた紙を出そうとしたら「まあ中に入んなさい」って感じで中に入れてもらいました。家族経営の店らしくてだんなさんと小学生らしい男の子も加わって住所を見てもらったら、だんなさんが「ああ、確かにここにホテルあるわ」みたいな話になり、奥さんがメモに簡単な地図を書いてくれました。
何度もお礼を言ってそこを出ましたが、「バーガーキングのところで道を渡って」と言われたものの、暗すぎてその道の広さがわからない。信号も何もありません。これ、ほんとにただ渡って大丈夫な道なのか? 途中に柵とか線路とかあったりしない? と不安になり、再びバーガーキングで聞いてみることに。
バーガーキングにはティーンエイジャーのグループが2、3いました。カウンターで「すみません客じゃないんですけど、この道はどう渡ればいいんでしょう」と聞いたら、英語のできる若い女性店員が来てくれて、ここはそのまま渡ればいいですよみたいに教えてくれました。実際、翌日明るいときに見たらたいして広い道ではないんです。そのあたりにいた若い子たちはみんな「何をバカなことを聞くんだろう」と思ったかもしれませんが、暗いとほんとにわからないことありますよね。
道を渡れば、確かにホテルの看板が出ていました。しかし。
その看板が指しているらしい場所に行ったら、なんか日よけっぽいところに書かれている名前が看板と違います。しかも暗い。
このホテルで合っているのか? でもいずれにしても閉まっているような?
さすがにこの辺で、ちょっと真剣に考えた方がいいなという気がしてきました。目的のホテルが見つからない場合にとれる手段はとりあえず2つ。近くの別のホテルに行くか(実際、駅の近くにホテルはあった)、遅くなりすぎないうちに市内に戻るか。
と思いつつ、最初はよく見てなかったんですが、その合ってるんだかよくわからないホテルのドアに張り紙があったことを思い出しました。ひょっとすると夜間入り口の場所とか書いてあるかもしれない。
と思ってそのドアまで戻って張り紙をよく見ると、それがまさに私あてであることが判明しました。宛名がMr.となっていたんですが、これは間違ったのではなくてセキュリティ上の理由かも。
横のドアから入ってくださいみたいなことが書いてあります。しかし誰もいないので、そこには鍵がかかっています。鍵がどこにあるかは、文章の中には書いてないのです。
文章の下に簡単な見取り図が。いま私が立っているドアがあり、右側に夜間用のドア。正面のドアの左側に丸が3つほどあり、Tree Potと書かれています。その3つのうちの1つだけ、色が塗られています。
見ると実際、木の植わった鉢植えがありました。……ひょっとしてここに鍵が?
色の塗られた場所にある植木鉢を見ると、木の根元に、レンガのようなものがきわめてさりげなく置かれています。
それを持ち上げてみると、下には埋め込まれたプラスチックの箱が!
そして紙に包まれた鍵が入っていました。
なるほど、メールに「10時過ぎてもあなたが鍵を手に入れられるようにしておきます」と書かれていたのはこういうことだったのか……。
カジュアル系のアドベンチャーゲームには「暗号を解いて鍵のありかを探す」みたいなシチュエーションがよくあり、それはゲームだからだと思っていたんですが、ヨーロッパではこういうことは日常茶飯事なのでしょうか。タイルをひっくり返すと周囲が逆にひっくり返るみたいなパズルがついてなくてよかったと思うべきなのか。
鍵に部屋番号の書かれたタグが付いていたので無事に部屋に入ることができました。一時はあきらめていたのに、ちゃんとした部屋で寝られる幸せ。
しかしいかに何でも不用心な気がして、ドイツはよほど治安がいいのかと思ったんですが、よく考えると実際に鍵があっても入れるのはホテルの該当する部屋だけ。金目のものといっては小型テレビくらいですから、リスクは小さいということなのかも。
部屋に入ってから、さすがにのどが渇いたなと思って冷蔵庫に入っていた水を飲んだら炭酸水だったのに意表を突かれました。
最近こんな動画を見つけたんですが、そうそう、これですよ、外国人に優しくない券売機は。
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COMMENT
無題
夜に一人で知らない街を歩くなんて心細かったでしょ?
スリル満点で後からは思い出になって決して忘れない旅になったでしょうけど。
無題
ホテルの部屋に入った時は、ほんとにほっとしました。
無題
同じようなことが有ったのです。娘がドイツに住んでいるとき、夫と二人で行きました。そのとき何とかなるから迎えに来なくてもいいからと言ったのですが、夕方だったので迎えに来てくれました。その時日曜日で切符売りの窓口はしまっていて、自動のしかなくそれも曜日と時間帯で値段が違うのです。娘もこんな機械初めてといってドイツ語を読みながらかなり時間がかかりました。日曜日の夕方はドイツでは駅に居る人は殆どいなく聞くことも出来ませんでしたから。迎えに来てなかったらと思うと、ぞっとしました。本当にところ変わればですね。
無題
慣れないところは本当に大変ですよね。
お迎えに来ていただけてよかったですね。
私は自分の心構えの甘さを思い知らされました。
無題
また、ホテルの場所が解らないトラブルも何度も経験しています。地図をプリントアウトして持っていくようにしているのですが、ついうっかり忘れた場所に限って解らなくなるんですよね。経験上、事前にもしかして拙いかもと思った所は大抵トラブりますね。
無題
ボゴタではそもそも、切符の自動販売機というものが存在せず、窓口で言って買うだけなのですっかり油断していました。
ホテルの地図はプリントアウトしておくべきですね。今回の件で痛感しました。