ボゴタで大量の雹が降って大騒ぎだったことはきっとみなさんご存じなのでしょう。月に一度の更新があるかないかのこんなブログでさえ、ふと昨日のアクセスを見たら100近くになっていました。すごいですね、雹。
しかし雹については書くことがありません。あの時間、ちょうど外出先から帰ってくるところで、タクシーから家にたどりつくまでにずぶ濡れになってしまったのですが、うちのあたりは「あー、雹が混じってるなー」程度で、被害らしい被害はありませんでした。すごかったことは翌日の新聞写真で知ったくらいです。あれほど大量に降ることはめったにないにしても、雹自体はさほど珍しいことではありません。しかしあの写真で流されていた車ってどうなってしまうんでしょう。廃車でしょうか。保険は利くんですかね。
そんなこんなで、雹のことには触れずに、先週木曜日に行ったイベントの話をしたいと思います。
小劇場というのは懐かしい響きです。学生時代はよく小劇場の芝居を見に行ったものです。とはいえ小劇場の芝居を積極的に選んで見ていたのではなく、アマチュア~小劇場の芝居は安かったのです。下手をすると映画を見るよりずっと安い。その後小劇場ブームのようなものがあった気がするので、小劇場芝居の料金は上がったかもしれませんが。
コロンビアというか、ボゴタはけっこう演劇が盛んのようです。新聞にも大小さまざまな演目の広告が出ていますし。これまでも興味がないではなかったのですが、私のスペイン語力で芝居を見るのはちょっと厳しいような気がする。言葉が理解できないかもしれないものにお金を払うのはもったいない。というわけで、行ったことはありませんでした。スペイン語の映画なら見に行くのですが、映画は映像で物語を補完しやすいのに比べ、演劇は言葉が果たす役割が大きいような気がします。
しかし今回、夫が例のアリアンサ・フランセサから、また何かのタダ券をもらってきました。正確には私が招待されたわけではないのですが、大丈夫だろうと言うので一緒に行ってみることに。
場所はセントロ、ガイタン劇場の前あたりです。ガイタン氏のミドルネームがどうしてもちゃんと覚えられません。
それはともかく、劇場の写真を
公式サイトで見るとえらく上等に見えるのですが、この場所にこんな大きな建物、あったかな。
しかしその謎は行ってみたら解けました。入口は普通の家のドアの分しかありません。そういえば時々日本映画も上映される市の映画館の入口もそんな感じでした。セントロは古い建物を改造した公共の建物がたくさんあるようですが、ここもそのひとつのようです。
それはまぎれもなく古い建物でした。背の高い木の扉をくぐるとちょっとした土間。2段か3段の階段を上ってもうひとつの木の扉。その先はちょっとしたスペースがあり、左手は階段、斜め前に部屋があり、正面からは奥に向けて廊下が延びています。廊下の右は壁、左は部屋との間に窓があります。
上でリンクしたページの右側にあるのがこの「部屋」なんですが、まさにこのように丸テーブルがいくつも並んでいました。そればかりではなく、入場者にはワイングラスが手渡されました。
ただ、テーブル席がほぼいっぱいだったせいか、私たちはこの奥の階段席に追いやられました。この演劇、実際には日本語で言う「小劇場」とはちょっと違ったと思いますが(俳優がどうも有名な人らしかったので)、この階段席は小劇場気分を満喫させてくれるものでした。公式サイトの写真では階段席は手前にあって映っておらず、また、舞台はこの写真の右の壁際に作られていたので見晴らしも決して良くなかったのですが、後から考えると階段席はラッキーでした。芝居を見ている最中にだんだんひんやりした風が吹いてきたからです。観衆の熱気を冷やすエアコンが装備されているとはとても思えない場所だったので、たぶん外気だと思います。テーブル席はけっこう寒かったのではないでしょうか。そのためのワインだったのか。
このイベントはまたもフランス大使館の肝煎りか何かで、もともと無料のイベントだったようです。ワインが出たのはそのせいでしょう。
演目はアウシュヴィッツで亡くなったユダヤ人女性作家 Irène Némirovsky の Le Bal でした。
舞台といってもとにかく場所がさほど大きくないので必然的に小さく、ひょっとして朗読だけだったらどうしようと思ったんですが、実際には朗読と演劇の中間くらいで登場人物は4人、時に効果音も入り、幸い筋もさほど複雑ではなかったのでだいたい理解することができました。
雰囲気もちょっと変わっていておもしろかったのですが、あの建物が良かったです。いまだに新しいデジカメを買えていないので、結局写真は撮れていませんが(写真を撮っている人がいたので禁止はされていなかったようです)。